座ったままできるストレッチ|説明書どおりにできない体操は、意味がないのか

在宅で働く編のアイキャッチ。座ったままできるストレッチ、説明書どおりにできない体操は、意味がないのか。オカメインコとウロコインコの小鳥さんたちが同じ方向へ飛ぶ姿のイラスト入り。

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私の部屋には、机の横に、簡単なスクワットの器具が置いてあります。

説明書には、1回に続ける時間が書いてあります。私は、そのとおりにできたことが、一度もありません。体力が持たないのです。

説明書どおりにできない体操は、意味がないのでしょうか。

この記事には、私が器具を置いたきっかけと、国や学会の文書を読んで確かめたことと、いま続いているもの・続いていないものを、そのまま書きます。座ったままできる動きも、後ろにまとめました。


1. 片足で立つと、ふらふらしました

器具を置いたのは、5年ぐらい前です。

きっかけは、運動不足でした。片足で立つと、ふらふらする。体が衰えてきたのを、実感したのです。

在宅の仕事は、席を立つきっかけが、会社勤めのころよりぐっと減ります。お茶を配りに行くことも、隣の部署へ書類を届けに行くこともありません。気づけば午前中ずっと椅子に座ったまま、ということも珍しくありません。

私の場合は、椅子の高さが合っていないと——床に足裏全体がしっかり届いていないと——太ももがうっ血して痛くなります。集中していると肩と首が固まりますし、キーボードと手首の高さが合っていない日は、腕の疲れが早く来ます。腰も、いまのクッションに出会うまでは、つらいところでした(クッションの話は『在宅ワークの部屋づくり5つの工夫』に書きました)。

それで、器具を買いました。ところが、説明書に書かれた長さは、私には無理でした。

そこで、トイレに行く時など、器具の横を通るたびに、20秒くらいだけ乗ることにしました。書かれたとおりにやろうとして三日坊主になるより、20秒のほうが、私には合っていました。

体操の器具は、これが初めてではありません。何十年も前には、ダンベルの器具や、こぐ自転車の器具も買いました。どれも続かず、邪魔になり、粗大ごみになりました。

体操そのものも、同じです。私が続いたのは、覚えるのが簡単な、1〜2動作で終わる動きでした。続かなかったのは、「これを左右何セットずつ」という形です。面倒くさがりなので、数えているうちに嫌になってしまいます。


2. 国の文書は、「少しでも」と書いていました

20秒で、意味はあるのか。国の文書を読みました。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」に、よく似た問いが、質問と答えの形で載っていました。

Q 1回の身体活動で「20分以上継続しなければ効果がない」などの最短持続時間や「週3回以上実施しなければ効果がない」などの最低限実施しなければいけない頻度はありますか?

A ありません。短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られます。

同じ所に、こうも書いてあります。

推奨事項はあくまでも目安と考えてください。

このガイドには、歩く時間などの目安の数字も載っています。そのうえで、目安に届かない人に向けて、こう書いています。

上記の強度、推奨値に満たなくとも、少しでも身体活動を行うことを推奨する。

座りっぱなしについては、「座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように注意する」とあります。座っている時間を、できるだけこまめに、たとえば30分ごとに中断することが大事だ、という研究の報告も、紹介されていました。

言えること=続ける時間や回数に、「これより少ないと意味がない」という線はありません。国の文書が、そう書いています。目安は目安で、届かなくても、少しでも動くほうがよい、とされています。

言えないこと=「20秒で十分」とは、どこにも書いてありません。目安の数字は、別にあります。私の20秒は、目安には、まったく届いていません。

説明書どおりにできないからやめる、という理由は、なくなりました。足りているとは言えません。その両方が、分かりました。


3. 座ったままできる動き

椅子に座ったまま、道具なしでできる動きです。私も、だいたい、しています。

厚生労働省のサイトは、ストレッチの原則として、「時間は最低20秒」「痛くなく気持ちよい程度に伸ばす」「呼吸を止めない」を挙げています。痛みをこらえて伸ばす必要はありません。ここの「20秒」は、1つの動きで伸ばしている時間のことです。体を動かす時間に下の線は無い、という2の話とは、別の話です。

座ったままできる5つのストレッチの図解。まず首を左右にゆっくり倒し、次に肩をすくめてストンと落とし、ひじを引いて肩甲骨を寄せ、腕を前に出して手首を回し、最後に両手を上げて背伸びをする。30分に1回が目安で、5つ全部でも2〜3分。痛みはこらえない。
  • 首をゆっくり倒す:息を吐きながら、頭を右へ、左へ、ゆっくり傾けます。耳を肩に近づけるイメージです。回すのではなく、倒して止めます。
  • 肩をすくめて、ストンと落とす:両肩を耳に近づけるように持ち上げ、フッと力を抜いて落とします。
  • 肩甲骨を寄せる:胸を開き、左右の肩甲骨を背中の真ん中で寄せます。
  • 手首を回す・開く:キーボードで固まった手首を回し、指をいっぱいに開いて閉じます。
  • 背伸び:両手を組んで天井へ伸ばします。息を吸いながら上へ、吐きながらゆるめます。

肩がつらい日は、これを足します。

  • 肩回し:両手を肩に軽く乗せ、肘で大きな円を描くように、前へ後ろへゆっくり回します。
  • 胸を開く:両手を背中の後ろで組み、胸を前に開きます。
  • 首の横伸ばし:片手で頭を軽く支え、首の横をやさしく伸ばします。引っぱらず、添えるだけにします。

4. 立ってする2つ|片脚立ちとスクワット

日本整形外科学会は、足腰のための体操として、2つを勧めています。「ロコトレ」と呼ばれています。

学会は、骨・関節・筋肉・神経などの「運動器」の障害のために、立ったり歩いたりする力が落ちた状態を、ロコモ(ロコモティブシンドローム)と呼んでいます。運動器は、ふだんの生活で体を動かして使うことで保たれる、と説明されています。

机に手を添えて行う片脚立ちと、膝を曲げすぎないスクワットの正しい姿勢を示した図

片脚立ち

  • 床につかない程度に、片方の脚を上げます。
  • 学会の目安は、左右とも1分間で1セット、1日3セットです。
  • 必ず、つかまるものがある場所で行います。支えが要る人は、机に手や指をついて行います。

スクワット

  • 足を肩幅に広げて立ち、お尻を後ろに引くように、2〜3秒かけてゆっくり膝を曲げ、ゆっくり戻します。
  • 学会の目安は、5〜6回で1セット、1日3セットです。
  • 動いている間は、息を止めません。膝の曲がりは、90度を大きく超えないようにします。
  • スクワットができない場合は、椅子に腰かけ、机に手をついて、立つ・座るを繰り返します。

学会のページには、「ご自身に合った安全な方法で、無理せず行いましょう」「頑張りすぎず無理せず 自分のペースで行いましょう!」と書いてあります。

回数は、目安です。2で読んだとおり、届かなくても、少しでも動くほうがよい、とされています。

痛みのある方、持病のある方は、始める前に、かかりつけの医師に相談してください。


5. いま続いているもの、続いていないもの

正直に書きます。

続いていないもの

  • スクワットの器具=いまは、ご無沙汰です。器具は2階の部屋にあります。いまは、主に1階で作業をしているので、横を通ることが、なくなりました。温泉旅行に出ると、そこでも途切れます。
  • 運動用のマット=持っていますが、出し入れが面倒で、使えていません。
  • 30分ごとのタイマー、カレンダーに丸をつける記録=よく勧められる方法ですが、私は、していません。

続いているもの

  • 足の裏のゴルフボール=足元に転がしてあります。座ったまま、足の裏でころころするだけです。集合住宅の方は、音が下の階に響かないよう、厚手のラグの上で転がしてください。
  • 足置き=私の椅子は少し高いので、足置きを置いています。くるくる回せて、足首も伸びますし、足と床の高さの調節にもなります。
  • もみほぐし器=座りっぱなしでだるくなった脚に使っています。

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並べてみると、続いているのは、足元に置いたままのものだけでした。続いていないのは、取りに行くもの、出し入れするもの、数えるものです。


座ったままの体操のよくある質問

ここから先は、よく寄せられる疑問への答えです。私自身の体験のほかに、この記事で調べた資料と、公的な情報をもとにまとめました。参考としてお読みください。

Q1. 説明書どおりにできなくても、意味はある?

A. 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、「20分以上継続しなければ効果がない」のような最短の時間や、最低限の回数があるか、という問いに、「ありません。短い時間の積み重ねでも健康増進効果は得られます」と答えています。目安に届かなくても、少しでも体を動かすことを勧めています。ただ、「20秒で十分」とは、どこにも書いてありません。この記事を書いた私は、器具の横を通るたびに20秒くらいだけ乗ることにしました。それは、ガイドの目安には、まったく届いていません。

Q2. やったら、かえって痛くなったときは?

A. この記事で紹介した厚生労働省のサイトは、ストレッチの原則として、「痛くなく気持ちよい程度に伸ばす」「呼吸を止めない」を挙げています。痛みをこらえて伸ばす必要はありません。日本整形外科学会のページにも、「ご自身に合った安全な方法で、無理せず行いましょう」とあります。痛みのある方、持病のある方は、始める前に、かかりつけの医師に相談してください。痛みが続くときは、医療機関に相談してください。


説明書どおりにできない体操は、意味がないのか

意味がない、とは、国の文書は書いていませんでした。短い時間の積み重ねでもよい。目安に届かなくても、少しでも動くほうがよい。そう書いてありました。

ですから、問いへの答えは出ています。残っているのは、私のほうの宿題です。

20秒にも意味があると分かっても、器具が通り道になければ、私は、その20秒をしません。器具は、いまも2階にあります。


この記事で確かめた文書

(確かめた日=2026年10月6日)

働きながらの時間の使い方は、『在宅ワーク生活リズム術』に書いています。

※この記事の図解は、ネオ還暦のオリジナルです。無断転載・改変はご遠慮ください。
とくに動作の図は、膝の角度や「机に手を添える」といった部分を変えてしまうと、思わぬけがにつながることがあります。手を加えられたものについては責任を負いかねますので、お役に立てそうなときは、このページへのリンクでご紹介いただけますと幸いです。