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在宅で仕事をするようになってから、机まわりでいちばん困っていたのは、腰が痛くなることでした。
私の机と椅子は、30年ほど前に買った、折り畳み式の木製のセットです。数千円の物でした。椅子の座面は、硬い木の板が一枚です。
机まわりの記事を読むと、何万円もする椅子が並んでいます。高い椅子を買わないと、腰は守れないのでしょうか。
私は、椅子を、何個も買いました。クッションがちゃんとしていればいいのかな、と思ったのです。どれも、合いませんでした。いま使っているのは、30年前の、その椅子です。在宅の仕事は、かれこれ15年あまりになります。
ここに書いたのは、私がしていることと、調べて確かめた目安の、両方です。「私は」と書いた所が、私のしていることです。「目安では」と書いた所は、厚生労働省などの資料を確かめて書きました。
先に、5つを並べます。
- 椅子と腰(値段ではなく、体に合わせる)
- 画面と手元(目・肩・手首)
- 室温と湿度(「28℃」は、何の数字か)
- 部屋(仕事をする所と、くつろぐ所を分ける)
- 足元と、冬と雷の備え
1. 椅子と腰|値段ではなく、体に合わせる
公的な目安は、何を求めているか
厚生労働省に、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」という指針があります(令和元年7月。令和3年12月に一部改正)。パソコンを使う仕事の、机まわりの目安をまとめたものです。
会社が働く人に対して行う管理の指針ですが、自宅で仕事を受けて働く人についても、できる限りこれに準じることが望ましい、と書かれています。
椅子については、こうあります。
- 安定していて、楽に動かせること
- 座面の高さを、体形に合わせて調整できること
- 適当な背もたれがあること
- 必要に応じて、肘掛けがあること
座り方は、椅子に深く腰をかけて、背もたれに背を十分に当て、足の裏の全体が床に着く姿勢が基本です。足が着かない時は、足台を使います。指針の解説には、足台は足を疲れさせないだけでなく、「背中や腰の疲れを防ぐ効果も有する」と書かれています。
値段の話は、どこにもありません。求められているのは、体に合わせられることです。
私の椅子
この机と椅子は、長年は家事の合間にちょっと使う程度でした。在宅ワークを始めたとき、とりあえず、そのまま使い始めました。
私の椅子は少し高いので、足元に足置きを置いています。それで、ちょうどよくなります。
腰のほうは、長いあいだ、片づきませんでした。椅子を何個、買っても、です。
数えきれないほど試して、当たったのは1枚
座布団やクッションを、数えきれないくらい買いました。どれも、合いませんでした。
そこで出会ったのが、いま使っているクッションです。何時間座っても、腰や背中が痛くなりませんでした。数年ごとに買い換えて、使い続けています。道具は高価かどうかではなく、自分の体に合うかどうかだと、この時に思いました。
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このクッションは、いっぱい探していた時に、商品の説明を読んで、口コミを読んで、ダメ元で買ってみた物です。それが、当たりました。ピタッと、腰が痛くなるのが止まったのです。
やめたもの
アームレストも試しました。手首が机に乗らずに浮いていると、肩が凝るからです。けれど、あまり効果が分からず、邪魔でした。やめました。
指針には「必要に応じて」肘掛けを、とあります。私には、必要ではなかった、ということです。
私に合ったクッションが、ほかの方に合うとは限りません。私も、合わなかった物のほうが、ずっと多いのです。まず、足の裏が床に着いているか、背もたれに背が当たっているかを確かめる。物は、そのあとで、少しずつ試す。その順番をおすすめします。
腰のつらさが続くときは、道具の工夫だけで我慢せず、早めに医療機関に相談してください。
2. 画面と手元|目・肩・手首
目安
同じ指針に、画面の置き方が書かれています。
- 画面と目の間は、おおむね40cm以上
- 画面の上の端が、目の高さとほぼ同じか、やや下になる高さ
- 書類やキーボードの上の明るさは、300ルクス以上。画面に太陽の光が入る時は、ブラインドやカーテンを使う
- 小さなノートパソコンで長く作業する時は、外付けのキーボードを使うことが望ましい
専用のスタンドがなくても、画面の高さは、厚めの本を下に積めば変えられます。
私の画面
私は、モニターを2画面で使っています。本気のモニターをセットして、そのほかに、持ち運びできるモニターも持っています。
文字入力は独立のフルキーボードで文字入力すると、ノートパソコンの小さなキーボードより楽ちんです。しかも薄型、静音。
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モニター2画面体制は、作業効率が違います。持ち運びもできて重宝しています。
マウスは、旅をしました
マウスも、いろいろ試しました。まず、静音であること。そして最後に、手首にやさしい形のマウスにたどり着いて、楽になりました。
- マウスやキーボードの静音タイプは、深夜や家族のそばでの作業に便利です。一方、打鍵音が「仕事のリズム」になる人もいるので、自分の作業スタイルで選ぶのがおすすめです。
- エルゴノミクス形状マウス(手首に自然な角度で握れる設計)は負担軽減に役立つ場合がありますが、好みが分かれるため店頭などで試してからがおすすめです。
張り込んだ道具
ただ、張り込んだ道具もあります。在宅で電話の仕事を始めた時のヘッドセットです。選び方は、『在宅ワーク職種ガイド【オンライン事務・カスタマーサポート】』に書いています。
3. 室温と湿度|「28℃」は、何の数字か
目安
「夏は28℃」と、よく言われます。
この28℃は、エアコンの設定の温度のことではありません。環境省は、クールビズの説明の中で、呼びかけている「室温28℃」は「冷房の設定温度のことではありません」と書いています。部屋の温度のことです。しかも、「あくまで目安」で、必ず28℃でなければいけない、ということではない、とも書かれています。
厚生労働省の資料(「自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について」)は、室温18℃〜28℃、相対湿度40%〜70%を、目安に挙げています。
私の部屋
私はエアコンの設定温度を29℃前後にしています。27℃では、私には少し冷えすぎるからです。湿度は50〜60%を目安に保っています。
湿度が高すぎると体感温度が上がり、低すぎると喉や肌が乾燥します。私は、目につきやすい所に、時計と温度計と湿度計を兼ねた置き型の物を置いています。
| 室温 | 湿度 | |
|---|---|---|
| 厚生労働省の目安 | 18℃〜28℃ | 40%〜70% |
| 私のエアコンの設定 | 29℃前後 | 50〜60% |
設定の温度と、部屋の温度は、同じとは限りません。正直に書くと、私は、設定を29℃にした時に、温度計が何℃を指しているかを、見ていませんでした。
私の仕事場は、6畳や8畳ぐらいの部屋です。エアコンの温度を設定しても、体感では冷えすぎることがあります。そういう時は、クローゼットルームの扉を開けたりして、設定の温度のほかに、細かく調節しています。冷えないように、気をつけています。
ただ、夫のいる部屋に行くと、冷房が、私にはまるで冷蔵庫のように感じられます。どうしてそんな所にいられるのだろう、と思ったりします。温度の感じ方や快適さには、個人差があるのでしょうね。
設定の数字だけで決めずに、温度計の数字と、自分の体の感じの両方で確かめるのが、確かです。
家の中でも、熱中症は起きます
消防庁の発表(「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」)によると、熱中症で救急搬送された人は、この5か月で100,510人でした。起きた場所でいちばん多かったのは、住居です。38.1%でした。
喉が渇く前に、作業の区切りごとに水分をとり、冷房中でもときどき換気をします。めまいや頭痛を感じたら、作業を中断して涼しい場所で休んでください。くわしくは、厚生労働省の『熱中症関連情報』のページで確かめられます。
4. 部屋|仕事をする所と、くつろぐ所を分ける
2階へ「出勤」する
電話の仕事をしていたころの仕事場は、自宅の2階のひと部屋でした。いまも私の部屋ですが、WEBの作業は、1階ですることが増えました。
2階にしたのは、在宅で電話の仕事をしていたころ、1階だと小鳥さんの鳴き声が電話に入ってしまうからでした。くつろぐ所と、仕事をする所を分けたかった、という理由もあります。
くつろぐ所に仕事の道具があると、私は緊張してしまいます。ですから、仕事をする部屋は、仕事だけをする部屋として区別してきました。もともと夫婦の部屋だった所を、私の部屋にしています。
1階から2階へ階段を上がると、出勤のように気分が切り替わりました。生活する1階とは階を分けた「家内出勤」です。2階の部屋には、いまも、観葉植物を置き、静かな音楽を流し、集中できる香りを炊いています。
このグリーンは、目に優しいだけでなく、ちょっとずつポーズを変えて楽しめます。
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部屋が余っていなくても、考え方は同じです。くつろぐ所と、仕事をする所を、分けておきます。
休憩は、仕事場を出る
先の指針は、作業の時間についても目安を置いています。続けて作業するのは1時間まで。次の作業までに、10分から15分の休止を入れる。その間にも、1〜2分の小さな休みを、1〜2回入れる、というものです。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」も、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように、と書いています。
電話の仕事のころは、休憩の時に2階の仕事場を出て、1階のリビングへ降りていました。大切な小鳥さんは1階でお留守番だったので、休憩時間に遊びに行くのが、何よりの癒やしでした。
仕事の席に座ったまま休むより、席を離れるほうが、頭が切り替わります。階段の上り下りは、運動にもなります。座りっぱなしを防ぐきっかけにもなります(『座ったままできるストレッチ』)。
香りも、場所で変えています。2階の部屋は集中の香り、1階はリラックスの香りです。
私は、集中やリラックス、場面に応じて香りを変えて気分転換します。
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集中力アップやリラックスの気分転換に重宝しています。
5. 足元と、冬と雷の備え
足元
私の机の足元は、冬は小型ヒーターとひざ掛け、夏は扇風機です。部屋ではクーラーも使い、加湿器もたいています。
足がだるくなったり、飽きてきたりしたら、足の下にゴルフボールを置いて、コロコロ転がします。
フローリングの床で転がすと、想像以上に音が響きます。階下への配慮も忘れないようにしましょう。
冬|石油ストーブは、換気とセットで
石油ファンヒーターは点火に電気が必要なため、停電時には使えません。
そこで頼りになるのが、昔ながらの石油ストーブ。最近は北欧デザイン調など部屋になじむモデルも多く、普段はインテリアとして、非常時には暖房・お湯沸かし・加湿までまかなえます。
使う時は、換気が要ります。日本ガス石油機器工業会は、石油ストーブの使い方として、「1時間に1〜2回(1〜2分)程度」の換気を呼びかけています。あわせて、給油の時は必ず火を消すこと、洗濯物などをかけないこと、寝る時と外出する時は必ず消すこと、とあります。
わが家のリビングの石油ストーブは、七色の炎に癒されます。
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雷
私は、パソコン用の電源タップを、雷対策の機能が付いたものにしています。差し込み口ごとにスイッチが付いているタップです。
中部電力パワーグリッドの案内(「落雷のときは」)には、近くで雷が鳴り始めたら、電源プラグや通信ケーブルを抜くように、とあります。雷対策の機能が付いたタップで、機器の損傷を防ぐこともできる、とも書かれています。
あわせて、作業データの自動保存とクラウド保存をセットにしておけば、突然の停電でも被害は小さくて済みます。
机まわりのよくある質問
ここから先は、よく寄せられる疑問への答えです。私自身の体験のほかに、この記事で調べた資料と、公的な情報をもとにまとめました。参考としてお読みください。
Q1. 腰が疲れない椅子と机の高さは?
A. この記事で紹介した厚生労働省の指針は、椅子に、座面の高さを体形に合わせて調整できること、適当な背もたれがあることを求めています。座り方は、深く腰をかけて背もたれに背を当て、足の裏の全体が床に着く姿勢が基本で、足が着かない時は足台を使います。値段の話は、どこにもありません。この記事を書いた私の椅子は少し高いので、足元に足置きを置いています。腰は、数えきれないほど試した末の、1枚のクッションで、痛くなるのが止まりました。合う物は人によって違うので、まず足の裏と背もたれを確かめ、物はそのあとで少しずつ試す、という順番を書いています。腰のつらさが続くときは、道具の工夫だけで我慢せず、早めに医療機関に相談してください。
Q2. 狭い部屋でも仕事の場所を作るには?
A. この記事では、部屋が余っていなくても、くつろぐ所と、仕事をする所を分けておく、と書いています。この記事を書いた私は、電話の仕事のころ、仕事場を2階のひと部屋にして、階段を上がると出勤のように気分が切り替わりました。部屋が足りない時の分け方は、『同居でも「自分だけの空間」をつくる』に書いています。居間の一角を、本棚やロールスクリーンで仕切る。机と椅子と手元のライトがあれば、そこは自分の場所になります。画面の高さは、専用のスタンドがなくても、厚めの本を下に積めば変えられます。
まとめ|合ったのは、30年前の椅子と、1枚のクッションでした
高い椅子を買わないと、腰は守れないのか。
私の場合は、椅子を何個、買っても、守れませんでした。守れたのは、30年前の数千円の椅子に、数えきれないほど試した末の、1枚のクッションを足した時です。それで、腰が痛くなるのが止まりました。
調べて分かったことを、並べます。
- 公的な目安が求めているのは、値段ではない。 足の裏が床に着くこと、背もたれに背が当たること。体に合わせられることです。
- 「28℃」は、エアコンの設定の数字ではない。 部屋の温度の、目安です。見るのは、温度計です。
- 合わない物のほうが、多い。 私は、椅子も、座布団も、クッションも、アームレストも、マウスも、たくさん試して、ほとんどが合いませんでした。
最初から全部そろえる必要はありません。まず、いまある椅子で、足の裏と背もたれを確かめる。物は、そのあとで、ひとつずつです。
机まわりの次は、一日の回し方です。『在宅ワーク生活リズム術』に書いています。
参考にした公的なページ・公式のページ(本文に出てきた順)
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和元年7月12日・令和3年12月1日一部改正)
- 環境省「どうして『28℃』?」(クールビズ)
- 厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について」
- 消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 日本ガス石油機器工業会「石油ストーブの安全な使い方」
- 中部電力パワーグリッド「落雷のときは」
※目安や決まりは、変わることがあります。最新の内容は、それぞれの公式のページでご確認ください。












