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お店の小鳥のコーナーで、店員さんが、1羽の子を一生懸命飛ばそうとしていました。「この子はすごくどんくさくて、いま飛ぶ練習をしているんですよ」。その様子が、あまりにもとろくさくて、可愛くて、わが家に迎えることにしました。
そのまま、まっすぐ家に連れて帰ってよいのか。
わが家では、いまは必ず、「お店 → 獣医さん → 家」の順です。お店から家へ帰る途中に、鳥に詳しい獣医さんに寄って、健康診断を受けてから、家に入れます。
なぜそうしているのか。この記事には、わが家の小鳥さんたちとの暮らしと、獣医さんに教わったことと、国や海外の獣医の手引きで確かめたことを書きます。鳥の種類ごとの飼い方の一覧はありません。私が一緒に暮らしてきたのは、オカメインコとウロコインコだけだからです。
1. 犬派だった私が、小鳥さんと暮らすまで
私は、もともとは犬派です。でも、当時は長く家を留守にすることがあり、毎日の散歩ができないので、犬は物理的に無理でした。猫は、家がボロボロになるからと、夫が今ひとつ乗り気ではありませんでした。
そうして小鳥さんと暮らすことになったのですが、暮らしてみれば、小鳥さんも壁や建具をかじって、家はしっかりボロボロになりました。それでも結局、何をされても許してしまっています。
オカメインコとウロコインコになったのは、種類で選んだからではありません。その子に、出会ったからです。
オカメインコは、冒頭に書いた、飛ぶ練習をしていた子です。
ウロコインコは、また別の時に、お店の小鳥のコーナーで、コロコロコロコロ転がって遊んでいました。それが可愛くて、迎えました。
最初から、オカメとウロコのつもりではなかったのです。ただ、種類も性格も全然違って、楽しいです。
2. お店から、まっすぐ連れて帰らない
小鳥に詳しい獣医さんに、教わったことがあります。
お店にいる小鳥さんは、ほかのヒナと一緒に過ごしているため、カビや細菌などの病気をうつされたまま、やって来ることがあります。ヒナのうちは体力がないので、放っておくと、命にかかわることもあります。
そこで、お店でお迎えしたら、家に連れて帰る途中で獣医さんに寄って、健康診断を受ける。何か見つかれば、必要なお薬をもらう。それが、そのヒナのためにも、家にいる先住の鳥さんの健康を守るためにもなります。
わが家では、いまは必ず、そうしています。健康診断では、便の検査などをしてもらいます。それで異常が無くても、獣医さんからは、最低1週間から10日ぐらいは、先住の鳥さんと一緒にせず、分けて過ごすように、と指示されます。見つからない病気があるかもしれないので、様子を見る期間が要る、という理由です。1週間から10日たって、もう一度診てもらい、異常が無かった時に初めて、一緒に過ごすようになります。
そして、2〜3か月に1回の定期検診も、欠かしていません。
海外の獣医の手引きも、同じことを書いていました。
獣医学の手引き(Merck Veterinary Manual)の飼い主向けのページには、こうあります。
When you get a new bird, it’s best to have it checked by a vet before bringing it home.
(新しい鳥を迎えたら、家に連れて帰る前に、獣医に診てもらうのがいちばんよい)
鳥の獣医師の会(Association of Avian Veterinarians)の飼い主向けの冊子は、分けて過ごす期間も書いています。新しく迎えた鳥は、すみやかに診察を受けること。そして、家にほかの鳥がいるなら、少なくとも6週間は、新しい鳥を分けて飼うこと。餌入れや止まり木を共有させず、世話のあとは手を洗うこと。わが家の獣医さんの「1週間から10日」より、ずっと長い期間です。
言えること=迎えた鳥を、家に入れる前に獣医に診せる、という順番は、海外の獣医の手引きにも、はっきり書いてあります。
言えないこと=手引きの言い方は「病気を持っていることがある」です。「多い」とまでは、書いてありません。分けて過ごす期間も、わが家の獣医さんと海外の冊子とで違います。どちらが正しいかは、私には言えません。かかりつけの獣医さんの指示に従ってください。
もう1つ、手引きが書いていることがあります。鳥は、具合が悪くても、それを隠します。
In nature, birds hide their sickness so they don’t appear weak to other animals.
(自然の中では、鳥は、ほかの動物に弱って見えないように、病気を隠します)
羽をふくらませている、いつもより寝ている、動かない、鳴かない、止まり木の低い所や床にいる、呼吸がつらそう、フンの様子が違う、食欲や飲む水の量が変わった。手引きは、こうした変わりようを「病気かもしれない印」として挙げています。定期検診を欠かさないのは、このためです。
鳥を診てくれる病院の探し方
わが家の獣医さんは、ネットの情報を探しまくって、見つけました。鳥を診てくれる病院は、やっぱり少ないのです。車で15分ぐらいの所にありますが、それでも近いほうで、タクシーや電車で通ってこられる方もいます。
「少ない」と数で示した公的な資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。代わりに、こういうものがあります。鳥の獣医師の会は、鳥の診療を「専門の訓練と設備が要る、別の分野」だと書いています。日本では、鳥類臨床研究会が、認定試験に合格した獣医師の名簿を、都道府県ごとに公開しています。小鳥さんを迎える前に、通える範囲に鳥を診てくれる病院があるかを、先に確かめておくことを、お勧めします。
3. わが家の毎日
わが家の小鳥さんたちは、一日中、好きに部屋を飛んでいます。
朝は、小鳥さんたちのケージのカバーを外して「おはよう」とあいさつをします。夜は、水やご飯を用意してから、寝る準備をします。それだけで、少なくとも朝と晩に、一日の始まりと終わりのリズムができます。
小鳥さんたちはずっとこちらを見ていて、「遊ぼうよ」と誘ってきます。疲れて何もしたくないときは、それを察して控えめに見守り、そばで温かさと愛をくれます。
在宅の仕事の同僚も、小鳥さんたちです。いまは1階で作業しているので、モニターの上からのぞかれたり、キーボードの上でうとうとされたり、キーボードのキーを外されたり、マウスをかじり倒されたりしています。電話の仕事をしていたころは、私は2階の仕事部屋で、小鳥さんたちは1階でお留守番でした。
「賢いね、かわいいね、ありがとう、大好きだよ」——一日に何百回も交わすこの言葉は、小鳥さんたちだけでなく、私の心も整えてくれます。
4. かじる、鳴く、そして人にうつる病気のこと
かじる。 電気のコードはかじりませんが、それ以外は、ありとあらゆる物をかじります。かじられること自体は、もう、そういうものだと思っています。
ただ、小鳥さんの体に害があってはいけません。壁は、かじっているうちに、壁紙と合板をかじり抜いて、中の石膏ボードまで行ってしまいます。そういう物を食べてはいけないと思うので、プラスチックの段ボール(プラダン)を貼っています。
鳥に危ない物は、ほかにもあります。鳥の獣医師の会の冊子は、チョコレート・アルコール・カフェイン・アボカド・塩分の多い食べ物を、与えてはいけない物として並べています。フッ素樹脂加工の鍋やフライパンを空焚きした時に出る煙も、鳥には危険です。獣医学の手引きは、「多くの場合、唯一の症状が急死である」とまで書いています。小鳥さんのいる部屋で、料理をする方は、気をつけてください。
鳴く。 鳴き声もそうですし、ケージの中でおもちゃをガンガン、大きな音を立てて遊びます。お隣に気を使うことはありましたが、壁に防音のシートを貼ってからは、だいぶ気が楽になりました(『同居でも「自分だけの空間」をつくる』)。
人にうつる病気。 インコやオウムには、オウム病という、人にうつる病気があります。厚生労働省の手引きは、気をつけることを、こう書いています。
- インコ・オウム類に、口移しでエサを与えない。
- ケージの中の羽やフンは、こまめに掃除する。世話や掃除の時は、マスクや手袋を着ける。
- 鳥を飼っている人が、治りにくい咳や息苦しさを感じたら、受診して、鳥を飼っていることを医師に伝える。
届け出は、国内で年に10例前後とされています。怖がる話ではありません。掃除と手洗い、そして何かあった時に医師に一言伝える。厚生労働省の手引きが挙げているのは、そういうことです。
5. 家を空ける時と、災害の時
ふだんは、一日じゅう家にいる私ですが、いまでも、何週間も家を空けることがあります。それでも小鳥さんたちが困らないのは、私が家を空ける間、夫が家にいて、面倒を見てくれるからです。家そのものを留守にしたのは、1泊程度の、やむを得ない時だけです。
一人で小鳥さんと暮らす方は、ここが、いちばん気になる所だと思います。環境省の災害の手引きは、ペットの一時預け先について「親戚や友人など、複数の一時預け先を探しておくことが望ましい」と書いています。災害の時だけでなく、ご自身の通院や入院の時にも、同じことが要ります。鳥を預かってくれる人や所を、迎える前に探しておくことを、お勧めします。
災害の時のことは、別の記事に書きました。環境省の手引きは、ペットの餌と水を「少なくとも5日分(できれば7日分以上)」と書いています。わが家では、人の分より先に切らさないつもりで、多めに置いています(『在宅避難という選択』)。
6. わが家で使っているもの
通院のお出かけに使っているキャリーケースは、大きさがあるので、ウロコインコもオカメインコも、入れてもゆっくり過ごせます。止まり木を足して使っています。
私のお気に入りの、小鳥さんのおもちゃのブランドです。可愛くて、自然の物でできています。
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小鳥さんを迎える時のよくある質問
ここから先は、よく寄せられる疑問への答えです。私自身の体験のほかに、この記事で調べた資料と、公的な情報をもとにまとめました。参考としてお読みください。
Q1. お迎えの後、まず病院へ行ったほうがいい?
A. 海外の獣医の手引きには、新しい鳥を迎えたら、家に連れて帰る前に獣医に診てもらうのがいちばんよい、と書かれています。わが家では、いまは必ず「お店 → 獣医さん → 家」の順です。分けて過ごす期間は、わが家の獣医さんの指示と海外の冊子とで違いました。期間は、かかりつけの獣医さんの指示に従ってください。
Q2. 小鳥を診てくれる病院の探し方は?
A. 鳥を診てくれる病院は、多くはありません。わが家の獣医さんは、ネットの情報を探して見つけました。日本では、鳥類臨床研究会が、認定試験に合格した獣医師の名簿を、都道府県ごとに公開しています。迎える前に、通える範囲に鳥を診てくれる病院があるかを確かめておくと、いざという時に慌てずに済みます。
Q3. 鳴き声やご近所が気になるときは?
A. わが家の小鳥さんたちは、鳴き声のほかに、おもちゃで大きな音を立てて遊びます。お隣に気を使うことはありましたが、隣との境の壁に防音のシートを貼ってからは、だいぶ気が楽になりました。音を小さくする方法には、音の通り道をさえぎる「遮音」と、音を吸う「吸音」があり、厚手のカーテンやラグは吸う側の工夫です。賃貸の場合は、貼る前に、あとで元に戻せる貼り方かを確かめてください。
まっすぐ家に連れて帰ってよいのか
わが家の答えは、「獣医さんに寄ってから」です。その子のためでもあり、先住の鳥さんのためでもあります。海外の獣医の手引きも、同じ順番を書いていました。
小鳥さんと暮らすことは、お店で出会った日に始まります。わが家の小鳥さんたちとの暮らしも、とろくさい飛ぶ練習と、コロコロ転がる遊びから、始まりました。その日の帰り道に、獣医さんを1軒はさむ。それが、長く一緒に暮らすための、最初の一手だと、私は思っています。
この記事で確かめた文書
- Merck Veterinary Manual(飼い主向け)「Importance of Veterinary Care in Pet Birds」「Illness in Pet Birds」
- Association of Avian Veterinarians「Veterinary Care for Your Pet Bird」「Basic Care for Companion Birds」
- Merck Veterinary Manual「Toxicoses of Pet Birds」
- 厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2026」
- 国立健康危機管理研究機構・感染症情報提供サイト「オウム病」(2025年6月更新)
- 鳥類臨床研究会「認定会員」
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)
(確かめた日=2026年10月6日)













